君津の危機~君津救急医療シンポジウム~
シンポジウム「君津市の救急医療をどうする?」
が開かれました。
震災前から準備していたということで、
運営の熱意が伝わり、市民からの発言も相次いで、
「この街の人はすごいなあ」と感動しました。
医師会の医師や救急に関わる体験を持つ市民、
そして、190人の参加者からも発言がありました。
いちばんのテーマは「君津中央病院」についてでした。
というのは、君津ではあるきっかけで救急医療は三段階のシステムで
行われるようになったと言うことでした。
出席されていた中央病院の救急担当医によると、
昭和50年代に中央病院の目の前の国道で事故にあった青年が、
目の前の中央病院をはじめ、20以上の医療施設を「たらいまわし」にされ、
結局、千葉の病院で亡くなったという事件があったそうです。
マスコミでも大きく報道され、
それから君津市では、
まずは、1次と呼ばれる○○医院と呼ばれるような診療所
それ以上ひどい状態だと、2次とよばれる玄々堂や鈴木病院のような大きい病院
それ以上に深刻だと3次といわれる君津中央病院へ
というシステムができています。
しかし、現状では
採算が合わないために、2次を引き受ける病院は激減、
中央病院もベットが埋まっていて、引き受けを断ることもある。
そんな危機にあります。
出席した医師と市民からは大きく二つの論点がありました。
●中央病院はきちんと市民の命を守れるのか
●医師は「疲弊」しており、際限なく求めれば体制が崩壊する
という意見でした。
ある市民は
「中央病院が市民の医療の信頼の最後の砦だった。
中央病院でだめなら、しかたないとまで思われていた。
その信頼を取り戻して欲しい。
そのためなら、お金が必要といわれても納得できる」
と話していました。
また、別の方は
「自分は一日遅れれば命に関わる病気を中央病院で救われた。
自分の夫が病気の際も必死で助けてくれたし、感謝している。
その病院で、ずっと働きづめの医師や、夕方にあんパン1つ
食べているスタッフの姿を何度も見た。
ただ市民が頼るだけでは今の医療はもたないのでは」
という問題提起がありました。
それぞれに共感する方が多かったようで拍手が起きていました。
確かに、僕も取材や番組をとおして、考えていたのは、
あまりに医師の負担が重く、というのは、
単純に賃金だけを見れば勤務医でも高いように見えるかもしれませんが、
実際には徹夜や長時間労働の繰り返しで、
本人の健康や意欲を維持するのは本当に大変だと思っています。
山形では実際に、高い給与を用意しても、
医師不足に悩まされる現場が多くありました。
そういう状態なのに、気軽に時間外診療を受診する人が多く、
お金を払わない人もいる。
それでも誇りを持って続けている医師を尊敬するようになりました。
シンポジウムでは病院の先生から
「昼は混んでるから夜に来た」と
実際に風邪で受診する人もいると話していました。
一言で改善策を言えば「税金投入を増やす」につきるのだと思います。
救急医療の診療報酬や補助金の優遇がすすめば、
出席した医師の言葉では「救急医療に興味のない病院も参入するはず」
と言っていました。
ただ、医療費は削減傾向にあります。
もちろん、国に制度の根本的な問題点を改善してもらうとしても、
今でもやれることはあるというのが僕の考えです。
私が注目したのは現場の声をきちんと吸い上げていない実態です。
医師達は患者数やどういう状況かについて、データを取っています。
それに、もっとこうだったら、というアイデアを持っています。
そこに市民の要望も踏まえれば、現状は必ず改善できます。
医師も県の健康福祉部の不在を嘆いていました。
シンポジウムでは、
亀山地区の方が
「救急車が来て、病院に着くまでどうしても時間がかかる
病院までの交通費が1万円以上もかかることもある。
診療所や医師が必要」
そう切実に語っていました。
しかしどうやっても亀山に医療施設を作り、採算を黒字にするのは難しい。
ただ、そこでも思ったのはこうした声でさえ
きちんと市には届いていないということです。
君津は地区ごとに議員の方もいると言われているのだから、
こうした声を積極的に聞き、解決して欲しいと思います。
例えば震災後には多くの被災した小規模診療所の代わりに、
遠隔地医療システムを導入できないか、そんなアイデアもありました。
あるいはせめて、交通費負担だけでも負担を減らす手段はないのか、
救急の時間を少しでも短くする努力も必要だし、
時間が他の地区よりかかることは前提で、
例えば医学的な応急処置の手段を広報しておいたり、
予防的な食事の指導や運動指導も少しは役に立つかもしれません。
そうした一つ一つの声をちゃんと聞いて考え、解決する。
そういうことが行政と政治にいちばん欠けていると思います。
医療は命に関わることです。
そして、交通手段が悪い所であっても、
故郷で楽しく暮らす権利が市民にはあります。
だからこそ、それをつなぐ政治の役割を真剣に考えたいと思いました。
会の運営や受付や椅子の片付けなど、
多くの方が関わっている様子が見えました。
すなが和良市議会議員も駐車場整理に走り回っておられました。
みなさんのおかげで本当に勉強になりました。
市民のひとりとして感謝です!